お月さまほしい

アイドルとわたしについてのあれこれ

8月生まれの君たちは。

帰り道、川べりでは既にこうろぎが鳴いていた。もうひっそりと秋は近づいている。夏が終わる。

夏のはじまりとおわりに生まれた君たちは、私に悲しみと痛みと怒りと、誰かを愛する喜びを教えてくれる。
家族でもクラスメートでも恋人でも無い誰かの為に、感情というエネルギーを搾り出すなんて馬鹿馬鹿しいことなのかもしれない。自分だけを見つめて生きていたらもっと気楽に何も思考する事なく過ごせるのかもしれない。それでも私は君たちと生きることを選ぶ。
 
君たちの心の底など分からない。ほんとうのことは結局最後まで話してくれなかった君。どんなに愛を注げども満たされない君。やはり普通の女の子だったんだね、なんて手を握られた君。普通の男の子だと言い張り続ける君。もう一つの夢を追いかけ続ける君。アイドルを生き続ける君。
 
 何がどうであれ君たちがこの日本の片隅で「これ、美味しいねぇ」なんて微笑みながら焼き鳥やらうどんやらを頬張っていたらそれで全てが丸く収まるの気もするのだが。
 
 
 君たちがどうか何にも誰にも傷付けられないようにと願ってはいるけれど、この世界で生き続ける限りそんな願いは叶いそうにもない。だから私はこうやっていかに君たちが大切な存在か書き連ねることしか出来ない。この言葉が君たちに届かなくてもいい。届けばいいなとは願っているけど。
 
生まれてきてくれてありがとう。この道を選んでくれてありがとう。出会ってくれてありがとう。
鈴木香音さん、桐山照史くん。お誕生日おめでとうございます。